国際奉仕活動としてポリオ(小児麻痺)撲滅に立ち上がった理由(ワケ)
1979年国際ロータリー(R1)は、国際奉仕活動の一環として3H運動をスタートさせました。飢餓(hungry)健康(health)人類愛(humanity)の頭文字の3つのHをとって、3H運動と名付け、飢餓の追放、健康の増進、人類愛の推進を計ろうという計画で、筆者は2750地区の会議に出席しその説明を受けました。
当時1日3400人が餓死、或は予防不可能な病気で死亡、2億5千万人が劣悪な労働条件で働き、1億人がホームレスという、助けを求める人で世界は溢れていました。
3H運動によりフィリピンから小児麻痺を追放する為のワクチンの接種を始めたのは正にこの時からです。
主として5才以下の子供に発症する為、小児麻痺と呼ばれているポリオ。
ウイルスが脊髄に入ると高熱を発し、高熱が引くとその側にある運動神経が麻痺して、主として下半身に後遺症が残り、歩行困難、或は車椅子の生活と、一生その重荷を背負って生きてゆかなければならない風土病として恐れられてきました。
1985年にはこのポリオに加えて、百日咳、破傷風、結核、ジフテリアをもこの地球上から無くそうという撲滅運動を「ポリオプラス」と命名し、ポリオが風土病として残る世界各国及び国際連合の世界保険機関(WHO)、国際児童基金(UNISEF)、米国疾病センター等と共同で行いました。
その目標を国際ロータリー100周年の2005年に置き、寄附金、ロータリー財団及び夫等の利息合計4億ドル(約450億余)を持って立ち向かいました。
2007年の現在、国際ロータリーR1は、当所の金額を遥かに越える6億2000万ドル(約730億余)を提供してきました。
更にWHOやユニセフに5400万ドル(約62億余)を拠出することになっています。
その結果、アメリカ大陸、東洋、ヨーロッパからポリオの撲滅に成功し、ポリオウイルスの蔓延している国は、インド北部、パキスタンとアフガニスタンの国境地帯、それにナイジェリアの北部の4ヶ国のみとなりました。
ポリオ撲滅に費やされた費用は各国の拠出を合わせ合計50億ドル(約5750億余)にも達していますが、それでも5億4000万ドル(約621億余)も必要といわれています。
ポリオの撲滅という成果は98%の達成といわれていますが、その道のりは困難を極めました。1979年の会議に出席した筆者は次のような説明を聞きました。
即ちインドに於けるポリオの撲滅は、初めポリオのワクチンを買う資金を現金で送ったところ途中で消えてなくなり、それではというのでポリオの生ワクチンを送ったところ暑さの為腐敗して使いものにならず、次からは冷蔵庫と共に送りやっとワクチンの接種が出来たということでした。
処でポリオ撲滅の資金の拠出はアメリカの12億ドル以上(1380億余)、次いでイギリス、日本、カナダの順ですが、何故アメリカがとび抜けて多額の資金を拠出したかを解くカギは、米国疾病センターの発表にありました。
アメリカでは永年の間ポリオは風土病として人々から恐れられ、いわゆる有名人が羅病し、病と闘い、克服する姿に人々は畏敬の念を抱くと同時に、いつ自分の子供が羅病するかも知れない恐怖におののいていたのでした。
今の若い人達はピンとこないかも知れませんが、ポリオ(小児麻痺)にかかったアメリカの超有名人は次の方々です。
*フランクリン ルーズベルト アメリカ合衆国大統領。第二次世界大戦中の車椅子姿、そして終戦間際に亡くなったことは、未だに記憶の中にあります
*ロバート オッペンハイマー 科学者。原子爆弾の開発者として有名
*フランシス・フォード・コッポラ 映画監督
*ウイリアム・ダグラス 最高裁判事
*ベン・ウッドリー ジャーナリスト
*アラン・アルダ 俳優
*ミア・フォロー 俳優
*ドナルド・サザーランド 俳優
*ジュディ・コリンズ 歌手
*ダイナ・ショアー 歌手
*ニール・ヤング 歌手
*ジョニー・ミッチェル 歌手
*イザック・ペルマン バイオリニスト
*ジャック ニクラウス プロゴルファー
ロータリークラブ発祥の地アメリカからポリオ撲滅の声が上がり、ロータリクラブが国際奉仕活動の目玉として取り上げた理由(ワケ)がお解り頂けたでしょうか。
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