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ガバナー訪問 卓話から見える日本の歴史
真野 博記

去る11月26日原宿ダイヤモンドホールで行われた、東京目黒・城南・青山ロータリークラブ合同のガバナー訪問での出来事。卓話の中で宗教革命と産業革命にチラッと触れられ「日本には日本のロータリークラブの考え方があるのではないか」と語られた時「オヤッ!!!このガバナーは今までとは一寸違うな?」と思う隙もなく海軍兵学校に学んだことを知り、思うわず心で相槌を打った。元海上幕僚長内田一臣氏と仕事の関係で話しをした時63期生は2400人の志願者のうち合格者は僅か120人。そのうち第二次世界大戦で生き残ったのは、たったの45人位。その為、戦後の日本の復興に寄与すべき人材が多数失われたことは「誠に残念」と語られていた。当時の海軍兵学校に入学することは人並み優れた頭脳、体力、の持主であることが要求されていた。

75期生の義兄によれば、ガバナーの入学期77期生いかり組は特に優秀な三千人もの人材が集ったと噂されていたそうである。

海軍兵学校は諸外国に通用する紳士たるべき人間人格形成に力を注いだ節がある。・「スマートで・目先が効いて・几帳面・負けじ魂これぞ海軍」といわれた組織の指導者として成長する為の心構えを徹底的に叩きこむ場所であった。先ず彼等はその為の心構えを身につけることを教え込まれた。

◎怒るな◎威張るな◎あせるな◎くさるな◎まけるな。その心構えを身につける為夜の自習時間5分前に合図のラッパが鳴ると必ず全員集合整列。班長の海軍兵学校名物の「五省」が声高らかに唱えられると全員が目を閉じて反省した。

一、至誠に悖(もと)るなかりしか

一、言行に恥ずるなかりしか

一、気力に缼(か)くるなかりしか

一、努力に憾(うら)むなかりしか   精一杯努力をしたか

一、不精に亙るなかりしか

第二次世界大戦後に来日したアメリカ海軍のウイリアムマック海軍中将はこの言葉に大変感激し、英訳して持ち帰りアナポリスにあるアメリカ海軍士官学校に掲げて、アメリカ海軍軍人の人間人格形成の指針としたそうである。

◎処でロータリークラブの標語に4つのテストがある。

1、真実かどうか

1、皆に公平か

1、好意と友情を深めるか

1、皆の為になるかどうか

夫々の職場に於いて実行することにより、己の職業を通じてより良い社会を築こうとする訳だが、それを実行するのは人間であり、その人間の人格がより高度に教育され、洗練され理想的な形に備えられていれば、より早く完璧に奉仕の理想を実現出来ることは自明の理であろう。

第二次世界大戦前の軍国主義教育は全て悪であり誤りであるという風潮のある世の中なので、この「心得」と「五省」こそ現代社会に於いても、ロータリーの理想を追及する為の人格形成に必要なものであることを述べることの出来ないもどかしさ、歯がゆさを感じられたに違いない。日本一の中学生として特攻精神を鍛える為、殴る、叩く、踏みつける、蹴飛ばす、突き倒す・・・という今の人には想像も出来ない軍事教練を受けた筆者以上の鍛錬を受けたであろう海軍兵学校の実態は表明を憚れるのだろう。然し善悪は別として全ゆる体験の中で自分の未体験なものを体験したもののほうが記憶や思い出として残るものだし、若いということ、まして子供であるということは夫等を恐怖であると感ずること無しに前進する。夫等は現代社会、世界中の至る所組織で今でも行われており、暴力と思われる現象だけでなく言葉や態度によっても人の心を傷つけることがあるということに注意しなければならない。

1分にも満たないガバナーの言葉からこのようなことが思いおもいおこされた。

言葉の持つ重み、力をしみじみと感じさせられる卓話であった。

 




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