第七章 ロータリーの標語は旧約聖書から生まれた?
1908年シカゴロータリークラブに入会したアーサーフレデリックシェルドンが作った標語
"最も良く奉仕するものは最も良く報われる"(he profits most who serve best)は、1833年僅か350人だった人口が1900年には8475万人、年間の工業生産が1兆3200億ドル世界一という経済の発展がもたらす社会の混乱としずみ、儲け主義を生み出し、それをいましめる意味からもう一度"職業は神から与えられたものであり、禁欲をまっての蓄財こそが、神からの恩給として与えられるもの"ということを知らしめたかったのではないかと考えます。過去に学び、現在を分析把握し、未来の繁栄へつなげるという宿命を背負ったのが経済学者であることから、その職業を背負った彼は熱心なカソリック教徒として旧約聖書をひもとき(man gets his due reward by the work his hand)
職業は神から与えられたものという考え方のなかった時代にも、労働にはそれに見合う正当な報酬が得られなければならないという現代の経済の原則に見合う言葉を見出し、ロータリーの標語に置きかえたと考えられるのです。
飢餓・貧国の克服、ポリオ(小児マヒ)の撲滅、健康の増進、識字率の向上、世界平和等々、世界的な規模で活躍するR1国際ロータリーは、その使命にふさわしく事務職員の構成も他の団体には見られない特異な構成で、あたかも国際連合組織のミニチュア版のような感があります。事務所はイリノイ州シカゴエバンストンにある400,000スクエアフィート(約37,200平米)18階建の上層階8階部分を使用し、その下の階は賃貸していて、事務局職員の数は600人。
そのうち、国際ロータリーに関する職員500人、残りの100人はロータリーファンデーションなど、国際オフィスで仕事をしています。ユニークなのはその職員構成で、20%120人はアメリカ以外、40ヶ国の人から構成されていて、全員の43%258人は少なくとも英語以外に1ヶ国の言葉を話し、57ヶ国の方言を話すことが出来ます。世界中から人が集まり、あらゆる言語を駆使して奉仕というロータリーの使命を達成する構図がありありと伺えます。
過去に学び、現代を構築し、未来の繁栄へつなげるという国際ロータリーの姿こそ、今世界中から求められているのです。そのロータリークラブの会員であることに誇りをもち、会員であり続けることと、一人でも多くの仲間を増やすことこそ、私達の出来る世界平和への貢献でもあります。
参考資料
アメリカ人民の歴史 上・下 レオ・ヒューバーマン著
先物王国シカゴ 日本経済新聞社編
アメリカ歴史の旅 木村譲二 今井今朝著
誰も書かなかったアメリカ デビッド・ワン
新約聖書 国際ギデオン協会
ロータリアン各誌 R1公式機関誌
世界の宗教と経典 自由国民社 ほか
戻る
|