中村健二郎会員
優れた親の跡を継ぐことはオリンピックの100m競走で、他の選手より前にスタート切れるようでうらやましいと思い勝ちだが実は大きな誤りであることに気づく。「跡を継ぐ」ということは自分の将来の選択肢が狭まれるので勇気のいる行動である。 人間誰しも死を迎える。その時にお世話になるのが葬儀屋さん。先代先々代の時には葬儀を派手に行うことが亡くなった人のステイタスの証明であり、家族の誇りでもあったが、今はそれが少なくなり「金はかけない」「家族葬」といって身内だけで済ませることが流行っている。そういえば焼場でも身内2人だけが骨を拾っているという光景に出合ったりする。「死んだあとは夫の墓に入りたくない」という女房もいるので夫婦喧嘩を持ち込まれて困ることもあるだろう。 「インターネットで葬儀をというプランを練っている会社もありますが、葬儀という性質上未だ一寸無理だと思います」それよりもこの手のインターネットが出てから葬儀料を最低料金より安くしてくれという遺族もあるとか。互助会に入っていて、いざという時は足りない分を自己負担しなければならないのに、もめることもある。勧誘する時の説明不足が原因なのだが・・・それにしても葬儀の時はいろいろと人手がかかる。「その人材はどうやって集める?」専門の人材会社を運営している処もありますから助かります。何しろ葬儀という性質上誰でも良いという訳にはいきませんから・・」 TVのバラエティ番組を見ていると、うしろに座って手を叩いている女性を良く見かけるがこれも人材派遣会社の仕事?専門の人材派遣会社だけでなく葬儀につきもののお寺さん、お坊さんの組合まであるのが業界の特徴であるとか。近頃は宗教離れをしている若者が多いので葬儀のやり方も変わるだろう。「葬儀のやり方も大体10年ごとに変わっているようです」常に10年先を見越して仕事をしなければならないし、しかも人間対人間の関係を大切にする仕事だから、それだけに幅広い知識と勉強が必要になる。それでも「お坊さんを」という要望に応えるには大変だ。何しろいろいろな宗教があるし、同じ宗教でも宗派によって異なってくる。そこを見越して僧侶派遣会社があって、電話1本でどの宗教のどの宗派のお坊さんでも用立ててもらえる。葬儀会社もフランチャイズ化し、地方の葬儀会社をまとめあげ巨大化する傾向にある。そのような内情は知らずに只依頼するだけの方が良いかも知れない。 「処でこれだけ外国人が日本に住んでいるとその人の葬儀も習慣に合わせなければならないから大変?」「長年日本に住んでいる人は、もう日本人と同じで問題ありません。私が扱ったなかで大変だったのはイスラム教徒の葬儀でした。イスラム教では土葬ですが亡くなった人は自分の土葬用の土地を山梨県甲府市のお寺の中に用意しておいたので助かりましたが」それにしても葬儀、法事に金をかけない、家族葬専門もあるというから業界も大変である。然し世の中は高齢化の時代。やがて誰でも世話にならなければいけないからこの面では、まだまだ余裕があるといえるだろう。それについても普段考えもしなかった「人間の死」について考えさせられる貴重な人材である。
同様に目黒RCの将来をも併せて考える機会を与えてくれる筈である。
真野 博 記
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